金工作家【1/1】
2013年8月28日 10:20技師・工員
どんな職業か
金属を材料として美術作品や工芸的な道具・金具類を創り出すのが金工作家である。
仕事の種類は、鋳型に溶けた金属を注入して器物を成形する鋳金、地金を叩いて成形する鍛金、金工品を鏨(たがね
)で彫刻・加飾する彫金、メッキをする鍍金(と金)や着色などの表面処理に大別できる。
制作内容は、伝統的な工芸品である食器、酒器、茶器、花器、置物、各種装飾品のほか、現代的な生産工程による日
用品や工業製品、各種金具類などに及ぶ。
金工作家の中には、素材自体や加工に関心を抱いて、金属加工業、精密工業や建築関連の仕事に従事する人や、企画
や意匠を専門とする金属造形デザイナーの道へ進む人がいる。装飾品、美術品、展覧会作品を創作する美術・工芸作家
の志望者には、素材に対する十分な知識、技法と共に、優れたデザイン力、絵心などが求められる。陶芸や染織工芸な
どは、素材や造形の魅力以上に絵画的な装飾や表現が表に出やすいが、金工作家の仕事は、金属素材の特質を生かす面
に特色があり、どちらかといえば、専門性の高い地味な作業が求められ、それだけに玄人受けのする仕事だといえる。
就くには
入職にあたって、特に資格や免許は必要とされない。
専門学校や美術・芸術大学を卒業していると、就業する際に人的
ネットワークの利用や情報収集面で有利である。家業が金工に関連
している場合も、様々な点で有利な立場にあるといえる。
最近は、大学卒業者が急増しており、彼等を中心に、金工作家が
自ら新しい就業先を積極的に開拓する雰囲気がみられる。
デザイン力や異業種との協業(コラボレーション)が新しい道を
切り開き、多様な選択肢をもつ作品が少量生産される時代である。
美術的に洗練された小物作りもジュエリー、装身具類と同様見逃せ
ない。センスのよい凝ったもの作りに対する興味、社会のニーズに
対応できる柔軟な姿勢、そのほか制作意欲や研究心、十分な気力と
体力が期待される職業である。また、硬い金属を相手に、根気よく
加工などの仕事をするため、相当の忍耐力が必要とされ、素材の加
工・造形に対する柔軟で豊かな構想力、発想力、デザイン力のほか
、ユニークな感性が強く求められる。
労働条件の特徴
道具・工具類、原材料、施設、さらには工程ごとの専門職人の協力が確保しやすいことや、製品・作品の展示・発表
などの利便性から、金工作家の多くは都会やその周辺地域に住んでいる。ただし、伝統的な金工品、大規模な火力を必
要とする鋳造、騒音を伴う鍛造の仕事などでは、作業場が郊外へ移ったり、制作環境が歴史的に備わっている地方都市
に集中することもある。
近年、金工作家の分野において、男性、女性の区別は、ほとんどなくなっている。繊細なデザイン力が期待される宝
飾(ジュエリー)界では女性の進出が目ざましく、今後も、細やかな感覚を活かした女性金工作家の活躍が期待されて
いる。
金工作家の労働需要については、建築と関連したり貴金属を素材とすることから、景気の変動に影響を受けやすい面
がある。ここ数年の傾向として、大量生産の製品よりシンプルで温かみのある手作りの一品物への関心が高まっている
。
最近では、日常生活の中で親しみの感じられる使いやすい金工品に人気が集まっているほか、優雅で品格があり、暮
らしの中で輝くような小物類も注目されている。鋳造や鍛造の業界では、建築・造園関係への進出に新しい展望が開か
れつつある。
参考情報
関連団体
(社)日本工芸会
http://www.nihon-kogeikai.com
(法)日展
電話:03-3821-0453 FAX:
(財)伝統的工芸品産業振興協会
http://www.kougei.or.jp/index.html
http://career.pjin.jp/job_knowledge/2013/08/02-07-15.php金工作家