改正労働契約法。IT業界への影響は?【1/1】|スキルと市場価値UPに役立つ情報ポータルサイト「キャリア@PRO人(プロジン)」  

改正労働契約法。IT業界への影響は?【1/1】

2014年1月16日 16:29IT業界の裁判判例集

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平成24年8月10日に「労働契約法の一部を改正する法律」が公布された。この改正は、有期労働契約(1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約)について3つのルールを定め、これらのルールは平成25年4月1日から施行されるようになった。
有期労働契約は、パート労働、派遣労働を始め、いわゆる正社員以外の労働形態に多く見られる労働契約の形式で、有期労働契約で働く人は全国で約1200万人と推計されている 。この改正は、有期労働契約で働く人の約3割が通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態があり、その下で生じる雇止めの不安の解消や不合理な労働条件の改善が課題となっていたことから、これらの問題に対処するために行われたものである。
では、具体的にどのような制度が整備されたのか。そして、それがIT業界にどのような影響をもたらすのか。


 

1 今回の改正のポイント

労働基準法では、有期労働契約の期間は原則3年以内と定められているが、契約更新回数については特に制限はない。そうすると、有期労働契約を締結した後に業務量が減少したような場合には、期間満了を理由に雇用契約が終了する(いわゆる「雇止め」)傾向があった。加えて、有期労働者は、その雇用期間が制限されていることから正社員と異なる扱いを受けることが多く、その不合理性が問題視されることも多かった。
そこで、これらの問題を解消するため、3つのルールが新たに設けられた。

  • ① 無期労働契約への転換
  • 2回以上の有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたとき、労働者の申し出により、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールである。これについては、少しややこしいので、あとの2つのルールについて説明した後で詳しく説明する。

  • ② 「雇止め法理」の法定化
  • 判例によって確立された「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定され、一定の場合には雇止めが認められないことになるルールである。
    このルールは、過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できるか、又は、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと労働者が期待することについて合理的な理由があると認められる場合に適用される。この場合、使用者が雇止めをすることが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されることとなる。

  • ③ 不合理な労働条件の禁止
  • 有期契約労働者と無期契約労働者(いわゆる正社員)との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールである。
    このルールは、一切の労働条件について適用されるものである。すなわち、賃金や労働時間などの狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となっている労災補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生などの一切の待遇が含まれる。
    そして、労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、 職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)、当該職務の内容、配置の変更の範囲及びその他の事情を考慮して、個々の労働条件ごとに判断される。特に、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、原則として不合理と判断される。

    2 無期労働契約の転換制度

    同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換されるというものである。なお、通算契約期間のカウントは、改正法が施行された平成25年4月1日以降に締結・更新した契約から開始され、平成25年3月31日以前に締結された有期労働契約は通算契約期間に含まれない。
    例えば、平成25年4月1日以降に1年契約を繰り返して更新しているケースなら、5回目の更新後(6年目の有期労働契約期間中)に無期転換の権利が発生することとなる。

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    また、3年契約を繰り返して更新しているケースなら、1回目の更新後(4年目から6年目までの有期労働契約期間中)に無期転換の権利が発生することになる。この場合、労働期間が5年を経過する前に転換の申込みができることに注意すべきである。

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    なお、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は、通算契約期間に含まれないこととなる。この制度は「クーリング」と呼ばれており、通算対象の契約期間が1年未満の場合は、その2分の1以上の空白期間があれば、それ以前の有期労働契約は通算契約期間に含まれない。
    このように、無期労働契約への転換のルールが規定されたのであるが、このルールは期間の定めについてのみを変更するものであり、その他の労働条件については「別の定め(特別の合意、個々の労働契約、就業規則等)」によって変更が可能となっている。つまり、無期労働契約へ転換されたからといって、必ずしも正社員と完全に同じ待遇になるということではないのである。

    3 今回の改正が企業にもたらす影響とは?

    この改正に、IT企業はどのように対応しなければならないのか。
    まずは、無期転換ルールの適用を見据えて、労働条件を正当化するためにも、無期転換した労働者についての就業規則等を作成しておくべきであろう。もっとも、有期労働者のモチベーションを下げる結果になってはいけないし、今回の改正による3つ目のルールも守らなければならないため、賃金等の定めについては十分に配慮する必要がある。
    他方で、パートタイマー等の有期労働契約者の多い企業では、簡単に無期転換を認めてしまっては今後の経営に支障が生じるケースもあると思われる。そのような場合には、契約当初から、原則として期間満了をもって「雇止め」をすることを明確に伝えた上、その旨合意をして、雇止めについてのルールの適用を避けるよう努力する必要があろう。
    また、この制度によって無期転換の申入れがされるのは、早くて平成28年4月1日であるから、まだ時間は十分にある。そこで、この制度に頼るばかりでなく、無期転換ルールに反しない、企業独自の正社員への登用制度を設けることも考えられるであろう。
    なお、派遣労働者が多いIT業界であるが、この場合、派遣先のIT企業ではなく、派遣元(派遣会社)と締結される労働契約が無期転換ルールの対象となる。そうすると、IT派遣業界においては特に、派遣元の企業も改正法を意識して労働条件を整備する必要があろう。

    法改正から1年が経ち、運用上の問題も浮き彫りになってきている。今後更なる法改正も見込まれることから、労働法規の改正動向については十分注意していただきたい。


    1. 厚生労働省調べ

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