高額な奨学金。子どもに任せっきりで大丈夫?【1/1】|スキルと市場価値UPに役立つ情報ポータルサイト「キャリア@PRO人(プロジン)」  

高額な奨学金。子どもに任せっきりで大丈夫?【1/1】

2014年1月16日 18:46家庭を守る法的知識

高額な奨学金。子どもに任せっきりで大丈夫?

奨学金を受給している学生の割合は、大学生で50.7%、大学院生では修士課程で59.5%、博士課程で65.5%に達する(日本学生支援機構、平成22年度調べ)。そのうち大多数の学生が受給している有利子の第2種奨学金は、利率こそ低めに抑えられているものの(平成25年12月時点で固定方式が0.89%、変動方式が0.26%)、卒業した年の秋から15年間にわたって返済を続けなければならない。
大卒者の約6割しか正規雇用として働くことができないと言われる昨今では、この返済条件を守ることができず返済を延滞してしまうことも珍しくない。現に、日本学生支援機構の調査によれば、延滞が始まった理由は「家計の収入が減った」が最も多く、延滞が継続している理由についても、約半数が「本人の低所得」を挙げている。
そして、奨学金の借入れに際しては連帯保証人をつけるよう求められるのが通常であり、多くの場合は親が連帯保証人となるため、奨学金が返済できないという事態は、子ども自身のみならず親にも深刻な影響を与える。
そこで、本稿では、奨学金の返済を延滞するとどのような不利益を被るのかを確認した上で、もし延滞が生じそうな状況になったらどうすべきかを考えていきたい。


 

1 奨学金の返済を延滞するとどうなる?

返済が滞ると、まずは年率10%の延滞金が発生する(もっとも、この利率は平成26年度には引き下げられる見込みである)。
そして、滞納が3ヵ月に達すると、個人信用情報機関のいわゆるブラックリストに載ることになり、クレジットカードの利用に支障を来したり、住宅ローンが組めなくなったりするなどの不利益を被る可能性がある。平成23年度の統計では、奨学金受給者の約11%が滞納者となってしまい、うち約6000人がブラックリストに掲載されたことが分かる。
また、債権回収業者に債権回収が委託されることがあるだけでなく、滞納が9ヵ月続くと一括支払を求める支払督促が送付され、更には財産が差し押さえられたり訴訟を起こされたりすることもある。現に、近年では年間6000件以上の訴訟が提起されており、昔と較べて取立ては確実に厳しくなっている。
奨学金の返還請求訴訟においては、子ども自身と並んで連帯保証人である親も被告とされることが多く、親も返済をすることができなければ、同じくブラックリストに載ってしまうことになる。

2 救済措置

  • ① 減額返還制度
  • 返済が困難であるが、1回当たりの返済額を減額すれば返済できる、という場合に利用が認められる制度である。返済が困難な理由としては、災害、傷病、その他経済的理由(概ね年収300万円以下、所得200万円以下)により奨学金の返還が困難であることが挙げられているが、申請時点で既に滞納が生じている場合にはこの制度は利用できない。また、返済額の減額は当初の予定の2分の1とされ、延長可能な期間は最長10年である。

  • ② 返済期限猶予制度
  • 返済が困難な事情があるときに、申請によって返還を一時的に猶予して先送りにする制度がある。ケガや病気により就労が困難である、生活保護受給中である、入学準備中(浪人中)である、失業中である、収入が少ない、新卒で無職であるなど、比較的幅広い事情が対象となっているが、最長でも1年間の猶予しか認められないことには注意を要する。

  • ③ 返還免除
  • 大学院において無利子の第1種奨学金の貸与を受け、在学中に特に優れた業績を挙げた場合には、返還が免除される場合もある。

    3 どうしても返済できない場合には

    上記の制度を利用できないか、利用しても返済が不可能な場合、まずは民事調停の申立てを行い交渉してみることが考えられる。しかし、近年の強硬な取立ての実情に鑑みると、調停によって大幅な譲歩を引き出すことは困難であると考えられる。
    そこで、調停が功を奏しない場合には、民事再生手続(多くの場合、小規模個人再生手続ないし給与所得者再生手続によることになろう)、更には破産手続を利用することも視野に入れておくべきであろう。もっとも、破産手続については、破産すると宅建業、建設業、生命保険の勧誘業、警備業など一定の職業については就業が禁止されることがあるため、これらによって生計を立てている場合には利用できない。

    4 奨学金に頼るべきなのか?

    このように、奨学金は、学生時代は大変ありがたいのであるが、学生生活が終われば、一転して負債としての性格が露わになり、子ども自身、更には親にも襲い掛かってくるのである。
    現在、奨学金を借りることは、冒頭に掲げた統計からしても比較的容易である。すなわち、親にそれなりの収入があっても、子どもが独り暮らしを始めれば、多くの場合は奨学金を借りることはできるであろう。
    しかしながら、奨学金を借りるときには、あくまで「負債」であることを十分意識すべきである。特に、子どもによっては、負債の意味を深刻に考えていない可能性もあるので、子どもに十分な理解力が備わるまでは、奨学金の管理状況を親が後見的に監督する必要があろう。
    一番の対策は、極力奨学金に頼らないようにすることである。子どもがまだ小さい読者の方は、子の将来を思うなら、安易に奨学金に頼るのではなく、早くから学資保険等を利用して教育資金の確保に努めるべきであろう。

    参考:債権債務関係の整理図

    債権債務関係の整理図

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