離婚までにかかる費用―婚費分担【1/1】|スキルと市場価値UPに役立つ情報ポータルサイト「キャリア@PRO人(プロジン)」  

離婚までにかかる費用―婚費分担【1/1】

2014年1月16日 19:23家庭を守る法的知識

離婚までにかかる費用―婚費分担

1 家族の生活費=婚姻費用

家庭生活を幸せに送るための生活費。あなたの家庭では,夫婦間でどのように分担しているだろうか。内閣府が平成22年3月に実施した意識調査によると,家庭で生計維持のための収入を担うのは,主に夫であるという回答が82.1%に上っている(夫と妻の割合が同じという回答6.7%,夫より妻が多いという回答10.6%)。夫婦共働きの家庭が増えているとはいっても,夫が生活費を多く分担する家庭がまだまだ多いのが現状のようだ。


 

夫婦が婚姻している間の家族の生活費(衣食住の費用,医療費,娯楽費,交際費,子どもの養育費など)は,法律上「婚姻費用」と呼ばれ,夫婦が互いに分担する義務を負うと定められている。婚姻費用の分担の額や方法は,夫と妻それぞれの資産・収入を中心に,夫婦ごとの事情を考慮して決められる。金銭による分担だけではなく,例えば,結婚前から住んでいた自分のマンションを結婚後の住居として提供している,というような物による分担や,家事・育児の担当という労働による分担も,立派な「婚姻費用の分担」である。
多くの家庭では,特に法律的なことを知らずとも,夫婦で話し合って自然と分担方法を決めているものである。しかし,夫と妻が互いに幾らの婚姻費用を分担する義務を負うかを,法的にはっきりさせなければならない場面がある。それは,夫婦関係に何らかの問題が起き,別居することになってしまったようなときである。

2 別居しても夫婦の絆は続く...

夫婦関係がどうしようもなく悪くなり,妻は,子どもを連れて家を出て行った。離婚を視野に入れての別居である。お互いがどうなろうと,もう知ったこっちゃない...。そんな場合でも,婚姻関係にある夫と妻は,法律上,互いの生活を支えるための婚姻費用を分担する義務を負い続ける。例えば、サラリーマンの夫と専業主婦の妻とが別居することになったとすれば,通常は,妻よりも収入の高い夫の方が,妻に対して婚姻費用の負担分を支払わなければならないことになるのである。

では,夫が妻に対して支払うべき婚姻費用の額はどのように決めるのか。まずは,家族が暮らしていくのにかかる生活費や,子どもの養育費,夫の収入,妻の収入などを計算し,別居する夫と妻子がそれぞれ同じ程度の水準の暮らしができるように,夫婦で話し合って決めることになる。
夫婦間で話し合いがつかない場合には,家庭裁判所に「婚姻費用分担の調停」を申し立て,調停の場で,婚姻費用の額や支払方法について話し合いをすることになるだろう。
全国の家庭裁判所に申し立てられる婚姻費用分担の調停件数は,年々増える傾向にある。裁判所の司法統計によれば,平成14年に申し立てられた婚姻費用分担の調停は約6300件だったのに対し,平成23年にはおよそ2.4倍に増え,約1万5000件に上っている。婚姻費用は当然に請求すべきという権利意識が高まり,調停の利用も進んでいるのである。裁判所から調停の呼出状が届いても慌てずに,正当な分担金額を決めるため、調停の場で歩み寄り,合意を目指そう。

3 調停での婚姻費用の定め方

婚姻費用分担の調停になった場合,家庭裁判所は,夫と妻の生活状況,双方の資産・収入,子どもの数・年齢,養育にかけている金額などを考慮して,具体的な分担額を提示してくる。その際,多くの場合に基準として使われるのが「婚姻費用算定表」である。婚姻費用算定表は,裁判所のホームページ から閲覧できる。
算定表によれば,例えば,夫(年収500万円の会社員)・妻(年収100万円の会社員)・10歳の子ども1人,という家庭の場合,夫が妻(子どもが妻についていく場合)に支払うべき婚姻費用は,月々8~10万円という計算になる。
ただし,算定表はあくまで標準的な婚姻費用を示すものであり,最終的には,各家庭のいろいろな事情を考慮して決定していく。例えば,夫婦の了解のもと子どもが私立学校へ進学して多額の費用がかかるとか,子どもが病気で高額の治療費がかかる,というような特別の事情があれば,婚姻費用分担額は高くなるだろう。婚姻費用には,子どものために使う費用も含まれているからだ。
逆に,算定表より低い金額になる場合もある。例えば,婚姻費用を支払う夫が大幅な減給となる予定がある場合や,夫が妻子の居住する住宅のローンを支払っている場合などは,そのことが考慮される可能性がある。

4 婚姻費用はいつから請求できるのか

別居を開始したものの,夫婦間で婚姻費用について何の話し合いもしないまま数ヶ月が経過してしまった。さて、これから調停で婚姻費用を請求しよう...という場合。別居開始から調停の申立てまでにもらえるはずだった婚姻費用を,遡って請求することはできるのだろうか。
この点については,裁判所でも見解が分かれており,裁判例も,支払開始を「別居時から」としたもの,「請求した時から」としたもの,「調停を申立てた時から」としたものなど様々である。
しかし,仮に「調停を申し立てたときから」という見解によるとすれば,別居開始時から調停申立てまでの間の婚姻費用については,請求ができないということになってしまう。したがって,婚姻費用を受け取る側としては,できるだけ早く婚姻費用の請求に向けて行動を起こした方がよいといえるだろう。たとえば,内容証明郵便で書面を送って請求する,調停を申し立てるなどの対策をしよう(もっとも,たとえ婚姻費用として請求ができなかったとしても,後で離婚となった場合の財産分与に,別居期間中の未払いの婚姻費用の清算のための給付を含めるよう求めるという方法がある)。

5 婚姻費用はいつまで払うのか

調停で婚姻費用を請求した場合,婚姻費用の支払いの終期については,「離婚するまで」あるいは「再び同居するようになるまで」と決められるのが一般的で,それまでの間は,別居している配偶者に月々の婚姻費用を支払い続けなければならない。
婚姻費用を受け取る側からすれば,子どもの養育費しか受け取れなくなる離婚後の状況に比べると「有利」な場合が多い。婚姻費用を受け取り続けるために離婚に応じない,というケースもよく耳にするところである。夫婦間で離婚の話し合いがまとまらない場合には,裁判所に離婚調停を申し立てるという方法で,離婚手続を進めていくことになるだろう。

6 夫婦関係悪化の責任と婚姻費用

収入や資産が少ない配偶者であれば必ず婚姻費用を受け取れるのかといえば,そういうわけではない。夫婦関係が悪化し破綻する原因を作った配偶者は,たとえ僅かな収入しかなくても婚姻費用をもらえない可能性がある。例えば,夫の側に何の問題もないのに妻が他の男性と不倫をし,その男性と暮らすために家を出て別居したというような場合,妻が夫に対して婚姻費用を支払うよう求めても,それは「権利の濫用」として認められないことになるだろう。
夫婦関係の破綻に至る事情は複雑であり,一方配偶者のみに責任があるというケースはそう多くないと思われるが,別居について夫婦の双方に責任があるような場合に,認められる婚姻費用の額が通常より少なく定められた裁判例もある。
このように,夫婦関係悪化の責任の所在が婚姻費用の有無や額に影響するということも,知っておいた方がよいだろう。

7 離婚するまでは夫婦

夫婦関係が悪くなり別居までしているにもかかわらず,相手の生活費を負担し続けなければならないというのは,理不尽に思えるかもしれない。月々の婚姻費用の支払いに生活を圧迫され,経済的に辛いという夫も少なくない。しかし,婚姻というものは,配偶者を助け,金銭的にも協力することを約束するものだ。一旦そのような約束をしたからには,夫婦関係が悪くなったからといって,そう簡単に責任を逃れることはできないのが法の仕組みである。
収入・資産が多い方の配偶者は,いずれにしても他方の配偶者に対して婚姻費用を支払わなければならなくなるだろうから,そのことをよく理解しておこう。妻も出て行ったし,今月からの給料は全部自分のために使おう...などと思って散財していると,後で婚姻費用の支払いに困ることになる。調停で婚姻費用が決まったにもかかわらず支払わない場合,給料を差し押さえられてしまうおそれすらある。
夫婦関係を円満にしておくことが最良であるのはもちろんだが,もし関係に危機が訪れたときは,安易に別居を始める前に,婚姻費用のことも含めてよく話し合っておくことが必要だろう。

参考図:婚姻費用の発生期間について

婚姻費用の発生期間について

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