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会社をクビになったら?労働審判手続等の利用のすすめ【1/1】

2014年1月17日 09:38家庭を守る法的知識

会社をクビになったら?労働審判手続等の利用のすすめ

ある日突然、会社から解雇された。事実上の肩叩きを受けてしまった。あるいは、こんな会社にはもういられないと思い退職を決意した。
これらの場合、職を失ったことによる将来への不安は相当大きいものとなり、混乱する方も多いのではないだろうか。特に、安定した収入が得られなくなる点については、何とかカバーしたいものである。そうすると、何とかして現状を少しでも改善させたいと思うところであるが、どのような法的手段をとりうるのであろうか。


 

1 労働審判制度について

一般人の感覚からすると、すぐに思いつくのが訴訟であろう。実際、労使間の紛争が労働訴訟にまで発展したケースは少なくない。しかし、多額の費用がかかる、紛争が長期化するなどの理由で、必ず勝訴できるという確信の持てない状況では訴訟を敬遠しがちな人も多いのではないかと思う。
そこで、より多くの労働紛争の解決手段となっている労働審判という手続を紹介したい。平成18年4月1日から開始された労働審判手続は,解雇や給料・残業代の不払など,使用者と労働者との間の労働関係に関するトラブルを,そのトラブルの実情に即して,迅速・適正かつ実効的に解決することを目的として設けられた手続である。
労働審判手続は,労働審判官という裁判官1人と、労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会とが関与し,原則として3回以内の期日で労働紛争を審理する手続である。その中で、当事者の合意による解決(「適宜調停」という)を試みて,調停による解決に至らない場合には,労働審判委員会が労働審判を行う。
この労働審判に対して当事者から異議の申立てがあれば,労働審判は効力を失い,訴訟に移行することとなる。
労働審判手続の事件数は年々増えており、平成24年の新規事件数は全国で3719件にも上った。他方、解決までの期間は平均73.1日であり、訴訟に比べてかなり迅速である。そして、終局的な解決率も83.9%と高い。もちろん、労働者の請求が全て認容されているわけではないが、一応当事者の納得を得られた上での解決なので、参考にはなるであろう。
このように、訴訟に比べてかなり活用しやすい制度があることは知っておいていただきたいところである。

2 裁判外の紛争解決手続は?

しかし、中には、裁判所を通じた解決に不安を覚える人もいるであろう。特に、法的知識に自信のない人は、結局は弁護士に依頼することをすぐに考えてしまうかもしれない。
各都道府県にある労働局は、労働紛争についての無料相談を受け付けているので、これを利用するのも手である。加えて、労働局は、紛争調整委員会によるあっせんという、無料で利用できる裁判外での紛争解決制度を設けている。これは、当事者の間に弁護士等の学識経験者である第三者が入り、双方の主張の要点を確かめ、当事者間の調整を行い、話合いを促進することにより、紛争の円満な解決を図る制度である。もっとも、このあっせんにより会社との間で残業代の支払の合意をした場合でも、裁判所での手続と異なり、直ちに会社の財産に対して強制執行することは基本的にできない。しかし、この手続によっても40%ほどの紛争が解決しており、利用価値は十分にある。
また、労働委員会も紛争解決のためのあっせんを行っており、これも無料であるから、利用することを考えても良いであろう。

3 どんなことを会社に主張できるのか?

さて、このような手続があるとして、基本的には、不当解雇を理由に労働者としての地位を確認するよう請求したり、給料・残業代の未払い分の支払いを請求したりすることが考えられる。
では、どのような場合にこうした請求が認められるのか。もちろん、個々の事件の具体的事情によって回答は異なるが、一般的に問題となる不当解雇及び残業代請求について、参考までに検討しておこう。

  • ① 不当解雇の要件
  • 労働契約法によると、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権を濫用したものとして無効となる。
    契約期間に定めのある労働者については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間は解雇することができない。
    また、裁判例によれば、形式的には有期労働契約であっても、無期労働契約と実質的に異ならない状態に至っている場合や、反復更新の実態等から労働者の雇用継続への合理的期待が認められる場合には、労働契約法によって解雇が制限される場合がある。
    さらに、労働基準法によれば、やむを得ず解雇を行う場合でも、30日前に解雇予告を行うことが必要であり、予告を行わない場合には解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払わなければならない。
    実務上よく問題となるのは、自己都合退職届に本人が署名している場合である。これに署名や押印をしてしまうと、任意に辞めたものと推認されてしまうので、解雇に納得がいかないときは署名や押印をすべきではない。

  • ②未払い残業代請求の要件
  • 残業とは、通常は「所定労働時間」(労働契約上の労働時間)を超えて行われる労働のことをいい、所定労働時間は各会社によって異なる。対して、労働基準法は労働時間の上限を定めており、1週40時間、1日8時間という「法定労働時間」の定めは、あらゆる会社に一律に適用される。そして、同法では、原則として法定労働時間を上回る労働時間を設定することを禁止しているので、通常は、実際の労働時間は法定労働時間と同じかこれを下回ったものとなる。
    そうすると、残業でも、法定労働時間内に収まる残業(法定時間内残業)と、そうでない残業(法定時間外残業)の2種類があることになる。この区別は、残業代の時間単価に関わってくるのである。
    法定時間内残業の残業代については、労働契約等により合理的な範囲内において任意に定めることができ、「法定内時間外残業の賃金として定められた1時間あたりの賃金×法定内時間外労働時間数」で計算される。したがって、法定時間内残業について残業代を請求するためには、就業規則等をチェックする必要があるであろう。
    法定時間外残業の残業代については、労働基準法37条で定められており、原則として、「1時間あたりの所定労働時間の賃金×1.25×法定外時間外労働時間数」で計算される。
    このように、基本的にはやはりどれだけ残業したかという時間数が重要となってくる。ここでよく問題となるのは、残業時間の計算についてである。タイムカードがある場合でも、会社の指示で正確に打刻されていないことはざらにあり、残業したことの証拠が残せていないことは多い。またタイムカード自体がなければ、所定労働時間の勤務についても確かな証拠がないことになりかねない。もしものときのために、会社のパソコンのメールアドレスから自分のプライベートアドレスにメールを送信して履歴を残すなどしておくと、送信時は会社にいたことの証拠になりうるので良いかもしれない。

    4 終わりに

    以上のように述べたところであるが、会社に戻りたいと願って紛争解決手段を講じても、一度亀裂の入ってしまった会社との関係はなかなか修復されることがなく、会社に戻れる権利が法律上認められても、実際には金銭的解決に終わることが多い。実際、無事に会社に戻れたとしても、上司との間の人間関係自体が修復されているわけではないので、結局は会社を辞めてしまう人も多い。
    しかし、会社に戻れる権利を金銭的に評価してもらい、解決金として受け取ることは十分に意味があることではないだろうか。それに、これによって将来に対する経済的不安を少しでも軽減できるかもしれない。もしものときは、求職活動と並行して、無料法律相談なども利用した上で、労働審判の申立てを行うなどして、会社に対して一定の金銭を求めることを検討するのもいいかもしれない。

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