父親側が親権確保するのは難しいってホント? ~教えて?!弁護士さん Vol.2~【1/3】
2014年1月17日 09:45家庭を守る法的知識教えて?!弁護士さん

日本における離婚率は、ここ数年間35%程度を維持しており、離婚は珍しい事態ではなくなってきています。しかし夫婦間に未成年者がいる場合には、親権者を決めなければ離婚をすることが許されません。話し合いによって親権者を決めることが難しい場合には、家庭裁判所が親権者を決定することとなります(民法819条1項、2項)。
教えて?!弁護士さん第2回は、仕事を持つ父親として親権を確保したいFさん(32歳)の疑問に対し、どのような事柄に気をつければ良いのかを考えてみたいと思います。
今回の相談のポイントは、母親側にわたりやすい親権を、父親が確保する方法です。
解説:弁護士Y氏
親権者の決定に当たって裁判所が一般的に考慮するのは、監護能力、経済力、実家や親族の環境、従来の監護状況などの父母側の事情。それから、子どもの年齢・発育状況、従来の環境への適応状況、子どもの意思などの子どもの側の事情です。父母のどちらを優先的に親権者とするかが、法律であらかじめ定められているわけではありません。
しかし裁判所による手続きを行った場合、母親が親権者となるケースが8~9割と圧倒的に多い。裁判所の関与する離婚手続において、父親が親権者となることは困難であるといわざるを得ません。
裁判官が具体的に考慮するポイントを以下に記していきます。親権確保に向けてどのような取り組みを行うことが有利に働くのかを、一緒に見ていきましょう。
① いちばん大事なことは、とにかく子どもと接する時間を作ること。
裁判所が最も重視するのは、子どもの日常生活の世話を質量ともにどれだけ分担していたか、子どもと過ごした時間がどのくらい長かったかなどの監護実績です。父親が外で長時間働く家庭の多い日本では、このような背景から母親が親権者になりやすいと考えられます。
つまり親権者となることを望む父親としては、仕事の合間を縫ってできる限り子どもの面倒を見て、一緒に過ごすことが必要になってきます。ただしこれは、必ずしも独力で行う必要はありません。自分の両親や兄弟姉妹などのサポートを受けながら、子どもと接する時間をできる限り増やしていきましょう。
そして、普段から子どもの監護をしていたという事実を、日記に記したり他人に見てもらったりして証拠として残しておくことも必要です。パパと子どもと友だち家族で休日に遊びに出かけ、そのことをFacebookにアップする、ということでもいいと思います。
なお育児・介護休業法では、子どもが1歳になるまで(子どもが保育所に入れない、配偶者が育児を分担できない等の事情があれば、1歳半になるまで)は、育児休業ができる旨が定められています。父親・母親の区別なく、育児休暇の取得が保障されています。これは法が保障する最低限の育児休暇期間で、会社によってはこれを上回る期間の育児休暇が認められているところもあります。
同僚や上司の目が気になるかもしれませんが、子どものためを思って育児休暇の取得を申請してみてはいかがでしょうか。
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